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インドネシアの自動車バリューチェーンを支配するアストラ・インターナショナル(4) 2017_10_29

公開日: 2017年10月29日

インドネシアの自動車バリューチェーンを支配するアストラ・インターナショナル(4) 2017_10_29


                                   -写真:アストラ・オート・パーツが組織するサービスショップ『ショップ&ドライブ』

<アフターの非純正部品ビジネスとアストラ・オートパーツ>



アストラ・インターナショナルはトヨタ/ダイハツやいすゞといった日系自動車メーカーのインドネシアでの合弁パートナーという立場をうまく利用しながら、各ブランドの川下の車両販売流通の大部分を抑えている。新車ビジネスでは配当と販売ビジネス、ダブルで収益を上げているわけである。


このモデルを自動車部品ビジネスにも適応している。


インドネシアの複数の日系自動車部品メーカーに資本参加をしながら、彼らの製造する国産部品をアフターマーケット市場に大量に販売している。


『アストラ・オートパーツ(AOP)』という小会社がこのアストラの自動車部品事業を担うわけだが、このAOPなかなかしたたかな会社である。


出資先の部品メーカーで造られた部品は当然のことながら、トヨタやダイハツや本田(二輪)ブランドのインドネシア生産車に搭載され、アストラの別部門であるブランド系列販売店を通じ販売される。生産台数が上がれば部品会社の収益が上がりいくばくかの配当が期待出来る。


一方アフターサービス用の部品は、合弁会社であるメーカーが純正部品として買い取ってブランド認定販売店の修理工場に販売するため、保有が増えていくに従い売り上げが上がり部品会社の業績に繋がる。ただしこのビジネスはAOPの商流を必要としない。


何度かレポートしている様にインドネシアの新車ユーザーは4〜5年で車を買い替える。中古車市場に流れた車は2次ユーザーが買って使うわけだが、彼らが修理やメンテナンスのために新車販売店に行くのは極めて稀である。高い部品代や修理料金、地方に拠点がないことが理由だ。中古車ユーザーのほとんどは全国に無数にある地場の小さな個人経営の修理ショップ、いわゆる『パパママショップ』に修理やメンテナンスを頼むことになる。


APOはこの修理ショップへの部品供給ルートに出資先が製造した部品を非メーカー純正品として流すのである。もちろん部品メーカーがきちんと造った部品であり一定の品質を確保している。


さらに、AOPは日本のオートバックスのようなサービスショップのフランチャイジー『SHOP&DRIVE』を組織しており、インドネシア全土には360店もの拠点を持っている。ショップは看板のロイヤリティを払うかわりにAOPから部品の優遇価格適応やサービス技術サポートを受けることができる。極めて古典的なパパママショップ向け部品ビジネスと流通の近代化を狙ったフランチャイズビジネスの『あっぱれな合わせ技』といえよう。



2010年頃から販売急増した新車がこれまでとは異なる勢いで大量に中古車として発生しており中古車ユーザーも膨らんでいる。高年式の中古車をターゲットとしたメンテ/修理サービスも需要が伸びている。補給部品はそのために必要なアイテムであり、まさにAOPは時流に乗ったビジネス展開をしているわけだ。 AOPが取り扱うアフター用部品の売り上げは、このパパママショップ向け流通ルートへの卸売とフランチャイジー向け販売を合わせ年間100億円以上。ほぼトヨタ単独の純正部品の売り上げに匹敵する。


ジャカルタのAOP本社には部品事業のPRコーナーがあって、日系合弁会社を中心とする出資先の各部品メーカーのパネルがズラリと展示してある。デンソーやアイシンといったトヨタグループの大手部品会社のインドネシア現地法人も並んでいる。


その各パネルの左肩には、AOP のカンパニーロゴが全て同じようにタグ付けられており、まるでアストラがインドネシアの主要部品メーカーを一手に抑えているような印象を受ける。実際は各メーカーへの出資比率はごく僅かで補給部品も各メーカーと独占販売契約を結んでいるわけでもない。単なる商社である。


8月のモーターショーのAOPコーナーでも『インドネシアの自動車部品産業のほとんどはアストラが…』のようなコメントがあり、ちょっと如何なものかという印象を受けた。


自動車メーカーは新車の販売競争に注力しなければならない中、アフターサービスビジネスについてはメーカー保証期間中の顧客フォローが精一杯というのが現状であろう。中古車ユーザーのフォローやビジネスモデルの見直しにまでは手が回らないというのは理解出来る。


販売金融、保険、中古車販売といったバリューチェーンだけでなく、メーカーの盲点といった保証終了後のユーザーのアフターサービス領域でもアストラが野放図にビジネスを拡大していくのは少し問題ではないだろうか。


また、新車の保有期間が4年という顧客の保有パターンを考えるとブランドイメージ上も少し問題があると思うのだが。

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